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カウンセリング: 栄養カウンセリングの技術 ヒント#12 受容という力  
執筆者: khirota
発行日付: 2010/10/22
閲覧数: 5534
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(M.ケロッグ著『栄養カウンセリングの技術』*より)

雑誌『臨床栄養』2009年7月号〜12月号に連載された米国のモリー・ケロッグによる『栄養カウンセリングの技術』の単行本からの翻訳です(雑誌未掲載)。なお、今回の紹介にあたって原典の日本語題名を改めました。

 

ヒント#12 受容という力


受け入れなければ変えることはできない
非難しても解放はもたらさない、抑圧するだけである
カール・ユング

わたしたちは自分自身を愛し受け入れることができるのに、
自分を変えることにやっきになる
デイブ・エリス

 

 クライアントは、問題解決のための助けを求めて私たちのところにやってきます。

 体重を減らす、食べるのを止める、病気を治す(予防する)といった問題です。 

 できれば忘れてしまいたいことばかりです。というのも、一度は前向きに挑戦したもののうまくいかなくて私たちのところにくるはめになることが多いからです。自然と私たちも、クライアントの問題行動に抵抗する(止めたいと願っている)側に味方したくなります。

 でも、行動をやめさせようとしてもうまくいきません。

 なにか注意を引くものがあると、私たちの注意はそちらに吸い寄せられます。それは磁石のプラス極が、マイナス極にひき付けられるようなもので、いちどくっついた磁石を剥がすのは大変です。剥がそうとすることはできますが、しだいになすがままになってしまいます。

 これを剥がすためには、磁石を裏返すことが必要です。つまり、マイナスの面にマイナスの面を向けるわけです。

 カール・ユングやその先輩学者たちはそのことに気付いていました。つまり望ましくない行動を罰するよりも、望ましい行動を促進することが効果的だということです。

 望ましくない行動に正面から挑んでもうまくいかないのです。

 

うまくいかないことの簡単な例:

 まず、紫色のゾウがあなたと一緒に部屋にいることを想像してください。なるべく具体的なイメージを思い浮かべるのがいいでしょう。

 そのゾウは生きていますか、それとも宝石で覆われた単なる陶器の置物でしょうか? 

 すべてはあなたの想像しだいです。好きな方を選びましたか?

 準備OKです:

 では次に、今言った紫色のゾウのことをすべて忘れてください。イメージが頭から離れないなら、忘れることに集中してください。

 ゾウのことを忘れられましたか?

 実際、ゾウのイメージから離れるには、別のイメージを考えて気を紛らせる以外にありません。

 この原理は、東洋の格闘技(合気道や太極拳)の所作にも取り入れられています。

 基本になるのは、目前の敵の攻撃を真っ向から受け止めないようにする、ということです。代わりに修行者は、相手の力を受け流すような所作を学ぶのです。

 そうすることで、あなたに腕力がなくても、相手の力を受け流して勝てるわけです。

 わたしたちも、栄養セラピストとして、クライアントにものごとを否定的にばかりとらえるのではなく、別のやり方もあることを示していけるはずです。

 すべての局面における健康(Health At Every Size Movement)を完全に受け入れるプロフェッショナルは、自然にこの「受容」というパラダイムの内部で仕事をします。これはほかの場合でもうまくいきます。

 

受容が有用な場合とは:

  • 問題行動に正面から格闘しているクライアントが現れたとき。
  • あなた自身がクライアントと議論していることに気付いたとき。
  • クライアントが自分の行動に対する自責の念で身動きできなくなっているとき。
  • クライアントを変化させたいと感じたとき。
  • クライアントが大食いやどか食いが止められないと苦情を言っているとき。
  • あなたとクライアントが非食事的アプローチで減量することに合意したとき。

 

どんなふうに実行するべきか:


 古典的なゲシュタルト療法のアプローチでは、問題には常にまっすぐ立ち向かいます。

 これは、問題を素直に受け入れ、問題に積極的な好奇心をもち、問題が継続する猶予を与える、ということです。

 行動を減少させることは、当然望んでいるわけですが、まずは行動の背後にある(正体不明の)衝動を受け入れましょう。衝動の正体を明らかにするために行動を詳細に観察することは、部分的に衝動を受け入れることに他なりません。

 行動の背後関係をしっかりと見極める好奇心を維持すること。

 そうすることで、問題を遠ざけないで逆に関係を持つことができるでしょう。問題の全体像が見えてくれば再調整をする機会が生まれます。

 例えば、食事摂取を記録したいと明言していたクライアントが、翌週一度も記録をつけずに現れたときでも、あなたはこう言えばいいのです。

「あら、それはそれで興味深いことですね。 どうしてそうなったのか、いまここで一緒に検討してみるのはとても有意義なことだと思いますよ」 

 おそらくクライアントは記録しなかった自分を非難しています。記録しなかったという事実(問題)を単純に受容して、どうしてそうなったのかに焦点をあてたアプローチを促進しましょう。

 問題のどこに価値があるのでしょうか? 

 望まれない行動には、本質的な要素が含まれているのです。あなたとクライアントは、岩の中からダイアモンドを見つけるようにそれを探し出すことができるでしょう。

 摂食障害の一般的な症例では、過食と嘔吐のプロセスを探求することが重要になります。でも、多くの過食症患者は、自分の過食・嘔吐のエピソードについて議論することに抵抗します。そんなことは忘れたい、縁を切りたいと望んでいるのです。

 あなたは、その症状には有益な目的があるはずだと仮定して、あなたの包括的な好奇のまなざしをやさしく向けなければいけません。クライアントに準備ができているときには、彼女はその目的を見つけ出し、彼女の要求にかなうもっと別の方法を探し始めるでしょう。

 (この作業は、心理カウンセリングにとても近いものですから、クライアントの心理カウンセラーと協同して実施することが必須です。あなたがこの仕事を最後までするか、単純に行動の受容だけをしてあとは心理カウンセラーに伝えるように指導するかは、あなたのスキルや心理カウンセラーとあなたの仕事のやり方の好みに依存します)。

 私は、クライアントがなにかを止めようとしているときはいつも、時間を確保して慎重に計画を練った「実験」をするよう提案します。

 たとえば、私のクライアントのひとりは長年のあいだ午後の間食がしばしば過食になってしまうのをやめようとしてきました。

 わたしは彼女が一日のタイムスケジュールに合わせて計画を立て、失敗がないような提案を考えました。そして、同時に、間食がそんなに魅力的である理由に対する好奇心を失わないように提案することも忘れませんでした。

 あるいは、クライアントが同じ行動パターンを繰り返すことから抜けられずに困っているときは、さらに回数を増やすことを提案します。これは確かに治療とは正反対のことをしているように見えますが、回数を増やすことでクライアントに新しい視点をもたらすことができるのです。

 たとえば、一日に何度も体重を確認しないと気がすまないが減らすこともできないクライアントに、私は、30分おきに体重を確認することを提案します。

 彼女はすぐに体重が気になるときとそうでもないときがあることに気がつきました。

 彼女は自分が不安になったときに自己の価値を確認するための手段として体重を量っていたのです。彼女は一日に数度のことでも、いかにそれが彼女の人生を妨害していたかに気が付きました。

 また、この実験で彼女は、体重というのは一日のうちにいくらでも変わるものだという事実にも気が付いたのです(もっとも、このやり方は、直接的で緊急の医学的転帰をもたらす行動の場合には使えません)。

 この「受容」という方法は、クライアントだけでなくわたしたち自身の態度にも応用可能です。

 皮肉なことですが、クライアントの変化をあきらめかけたとたんにうまく行き始めるということは実際しばしばあるのです。あきらめて放置すると決めるのは容易なことではありませんが、抵抗が強いときには、スーパービジョンが力になってくれるでしょう(ヒント#11スーパービジョン参照)。

 受容のこのプロセスは状況のリフレーミングを含みます(リフレーミングについてはヒント#10参照)。

 

あなたが受け入れようとしているのにクライアントが受け入れないものはなにか?

 ある行動を続けることを選択できると提案することによって、あなたがクライアントの行動を受け入れるという意思表示をしましょう。クライアントはしばしばその行動を繰り返しており、彼女が続けたいのであれば、それはあなたにとって問題がないということを。

 受容は、実際自己嫌悪より効果的であるのだということを納得させるために、あなたはクライアントに、自身を愛することが回復に必要な初めの一歩だということを思い出させましょう。自己嫌悪から長続きする変化は起こりません。

 多くのクライアントが自責の念にとらわれていて、受容と変化の妨げになっています。わたしたちが最初にすべきことは、自覚を促すことです。

「いつもそんなふうに自分と対話するのですか?」

「自分を叱りつけることがなにかの助けになりますか?」

 そして再び、わたしたちは受け入れるという意思表示をします。

「自分を非難し続けるのはかまわないんですよ」

 そして続けて「ただ、もう少し別の視点からみることができると思うんですよ?」

 変化のためのすべての努力にもかかわらず、問題が依然そこにあることを、丁寧に振り返り説明します。

 彼らがずっと続けてきたことは、現実にうまくいっていないのだという点をかならず指摘すること。

 彼らは新しいことをやってみようと望んでいるでしょうか?(狂気の定義のひとつに、おなじことを繰り返し繰り返し続けて異なる結果を期待する、というものがあります)

(訳・廣田晃一 国立健康・栄養研究所IT支援プロジェクトリーダー)

*Molly Kellog, RD, LCSW: "Counseling Tips for Nutrition Therapists. Practice Workbook Volume 1" Kg Press, Philadelphia, PA, USA (2006)

著者のサイト http://www.mollykellogg.com には最新のヒントがあり、51-100番は無料で読むことができます(英文)。日本語でのウェブ掲載については著者及び関係者の了解を得ています。

 
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