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カウンセリング: 栄養カウンセリングの技術 ヒント#55 矛盾した心の葛藤  
執筆者: khirota
発行日付: 2010/10/9
閲覧数: 5627
サイズは 12.63 KB
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(M.ケロッグ著『栄養カウンセリングの技術』*より)

雑誌『臨床栄養』2009年7月号〜12月号に連載された米国のモリー・ケロッグによる『栄養カウンセリングの技術』の単行本からの翻訳です(雑誌未掲載)。なお、今回の紹介にあたって原典の日本語題名を改めました。

 

ヒント#55:矛盾した心の葛藤

 

受け入れることなく思考を楽しむことができるのは
教養のある精神の特徴である
アリストテレス

 

独創性の条件は、頭を悩ませること、集中すること、
葛藤と緊張を受け入れること、毎日耐えること、個性を感じること
エーリッヒ・フロム

 

アンビバレンス(二律背反性)は、行動変容が起きるときにつきものの要素です。この内的矛盾とうまく付き合えれば、行動変容もよりうまく成就できるでしょう。

 

アンビバレンスの例:

  • 体型を良くしたい、でも運動するのは嫌い。
  • 体重を減らしたい、でも満足するまで食べたい。
  • 摂食障害から回復したい、でも体重が増えるのは嫌だ。

 

クライアントの信条や欲求と実際の行動が矛盾していて、しかも本人がそのことに気が付いていないことは、カウンセリングではしばしばあります。クライアントは、よりよいアウトカム(結果)を望む自分と、新しい行動をしたくない自分という二つの自我があって、その両者の間に連絡がないという状態に陥っているのです。

 

栄養士としては、クライアントの中に分裂した二つの自我を見つけたら、さっそく介入して行動変容する側に味方したい誘惑にかられるかもしれません。でも、あなたの仕事は、クライアントに内的矛盾の解決策を教えることではありません。実のところ、そんなことをすれば、クライアントの抵抗はいっそう強まってしまいます。

 

これを回避するにはどうしたらよいのでしょうか? 

 

内的矛盾に気づいたときは、進行のペースを落としてクライアント自身にその矛盾を気付かせるようにします。あなたが気付いた目標と実際の行動の間にある不一致な部分をクライアントと一緒に考えることで、より柔軟な対応が可能になるはずです。

 

もっとも効果的でしかも礼儀正しさを失わない始め方は、あなたが聞いたことミラーリングすることです。できるだけさりげなく詮索する感じで。

 

「まあ、あなたは本当に血糖値コントロールを良くしたいと望んでいるのですね。でもあなたはおいしい食事をするのも大好きで、食べる量を気にしたりすればせっかくの食事が台無しになるというのですね。血糖値をコントロールするというのは食事の量を気にするということですよね? ではなくて?」

 

通常は、クライアントに一緒に検討することを積極的に提案してみてもいいでしょう。例えば、不一致を見つけたら、

 

「これはとても重要なポイントだと思います。あなたがうまく進めないでいる大きな理由のひとつなのかもしれません。少し考えてみませんか?」

 

と言えばいいのです。

 

アンビバレンスの状態を維持し続けるのは、容易なことではありませんから、しだいに異なる考え方へとシフトしていくのがふつうです。あなたが詳細に観察していれば、クライアントが視線をそらせたり、瞬きしたりといったシフトが起きている徴候に気づくでしょう。アンビバレンスに気付いたときは、ただちにあなたの提案に入らずに、きっかけが来るのを待ちましょう。

 

矛盾が現われそれに取り組むことに賛成なとき矛盾に取り組むこと:
矛盾した言葉の背後にあるものを取り出しましょう(ヒント#20参照)。例えば、上記の例でいえば、クライアントは、血糖値をもっとうまくコントロールできればもっと力が沸いてきて長生きができ、最愛の孫の高校の卒業式も見られるだろうと理解しているのを、あなたは見つけるでしょう。

 

あなたはまた、彼女が食事を楽しむことについて、開かれた質問をすることもできます。この開かれた、批判を避けた探求の間に、いままで気付かなかったクライアント自身の柔軟性を発見したり、彼ら自身による解決法を見つけることも多くあります。これは(内的にせよ外的にせよ)矛盾の中に閉じ込められているときは、好奇心や創造性を欠きがちだということから説明がつきます。批判なしに純粋に探求しようというあなたからの誘いが、紐の結び目をほどき出口を見つける視力をクライアントに与えるのです。

 

あなたにとって楽しい部分は、あなたに必要なのが探求のプロセスに焦点をあてるだけだということです。クライアントが解決策を見つけ出す作業のほとんどをひとりでします。

 

あなたもいろいろと提案をするでしょうが、それがどんなに不要であるかは驚くほどです。最適な解決法はクライアント自身からもたらされます。なぜならクライアントは、自分の人生や環境をあなたよりもはるかに良く知っているからです。

 

あなたにとってアンビバレンスが明らかであるにもかかわらず、クライアントの中には、それを受け入れなかったり、理解することすら拒否する場合もあることはあらかじめ予期しておかなくてはなりません。彼らにはジャンプするための準備ができていないのです。彼らは行動変容プロセスの初期ステージにいます。またあとで再訪することにいたしましょう。

 

最後に、あなたに贈る言葉:
矛盾するふたつの意志を保持しているクライアントが目の前にいるのは落ち着かないものです。なにがあなたをそれほどまで落ち着かなくさせるのか自問してみましょう。クライアントを変化させるために「修復しなくては」というプレッシャーですか? もしそうであれば、あなたの仕事は人々を行動変容させることではなく、クライアントに準備ができているときにただ変化を促すだけだということを思い出してください。以下のヒントも参考になると思います。ヒント#12受容の力、#19マインドフルネス瞑想実践が仕事を助ける、#26ペースを落とす。

(訳・廣田晃一 国立健康・栄養研究所IT支援プロジェクトリーダー)

*Molly Kellog, RD, LCSW: "Counseling Tips for Nutrition Therapists. Practice Workbook Volume 1" Kg Press, Philadelphia, PA, USA (2006)

著者のサイト http://www.mollykellogg.com には最新のヒントがあり、51-100番は無料で読むことができます(英文)。日本語でのウェブ掲載については著者及び関係者の了解を得ています。

 
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