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カウンセリング: M.ケロッグ著『栄養カウンセリングの技術』について(2)  
執筆者: khirota
発行日付: 2010/10/6
閲覧数: 5937
サイズは 5.29 KB
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栄養カウンセリングの技術*

 

モリー・ケロッグ著『栄養カウンセリングの技術』の原題は、Molly Kellogg: "Counseling Tips for Nutrition Therapists" です。そのまま日本語に訳せば『栄養セラピストのためのカウンセリングのヒント』ですが、これでは少なからず誤解を招きそうなので思い切って意訳してみました。その理由を以下に説明します。

 

「栄養セラピスト」ですが、米国では、英国のようなホーリスティックな栄養療法を行う、いわゆる栄養セラピスト(栄養療法士)という特殊な資格はありません。栄養セラピストという名称は、栄養カウンセリングをする栄養専門職の総称として使われているようですが、米国の栄養専門職といえば普通は米国栄養士会公認資格である登録栄養士がそれに当たりますから、栄養セラピストは一般に登録栄養士であることが多いと考えられます。ところが、日本語の「栄養セラピスト」という名称は、ホーリスティックな栄養療法を行う英国流の栄養セラピストの意味で主として使われていますから、明らかに意図するところが違ってしまいます。ちなみに、原著者のケロッグも登録栄養士であり、栄養セラピストを"自称"しています)。

 

「カウンセリング」という単語も色々な意味に混同しやすい言葉です。一般に日本語でカウンセリングといえば心理カウンセリングを指しますが、英語の「カウンセリング」はもっと幅広い意味を持っています。上述のとおり、栄養セラピストというのは栄養士であって心理療法士ではありません。原著者は、栄養セラピストは栄養カウンセリングをするのであって、心理カウンセリングは心理療法士にまかせるべきだというスタンスをとっていますから、必然的に、原題の「カウンセリング」は栄養カウンセリングを意味しているということになりますが、わが国では栄養カウンセリングという名称は最近できたものでまだあまり普及していませんが、心理カウンセリングの技法を部分的に取り入れた栄養指導(教育)や保健指導ということです。

 

また、目次をみれば一目瞭然ですが、内容的にも本書は、いわゆるカウンセリングの技法を紹介しただけのものではありません。原著者は、カウンセリング技法と同等かそれ以上に栄養士が栄養指導をするときに突き当たる固有の、けれども栄養指導の本質的でない問題に焦点を当ててさまざまなヒントを提供してくれています。

 

カウンセリング技法にしても、当然のことながらここではあくまでも栄養指導をする栄養士のために書かれており、心理療法で技法以前に理解しておく必要のあるさまざまなカウンセリング理論を知らなくても(米国でも栄養士はほとんど教わらない)技法だけを学べるようになっています。

 

もちろん、理論抜きの技法だけというのは本来おかしいのですが、あくまでも栄養カウンセリングに応用するというスタンスでなんとかスッキリと簡潔にまとめています。

 

そのあたりの、しっかりした理論に基づきながらも極めて実践的で手軽であり、さらにはさまざまな周辺的な、かゆいところにも手が届くスタンスというのが本書の最大の特徴でありまた魅力なのです。

 

(廣田晃一 国立健康・栄養研究所IT支援プロジェクトリーダー)

*Molly Kellog, RD, LCSW: "Counseling Tips for Nutrition Therapists. Practice Workbook Volume 1" Kg Press, Philadelphia, PA, USA (2006)

著者のサイト http://www.mollykellogg.com には最新のヒントがあり、51-100番は無料で読むことができます(英文)。日本語でのウェブ掲載については著者及び関係者の了解を得ています。

 
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