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トップ  >  栄養カウンセリング  >  M.ケロッグ著『栄養カウンセリングの技術』について(1)

栄養カウンセリングの技術*

モリー・ケロッグ著『栄養カウンセリングの技術』(Molly Kellogg: ”Counseling Tips for Nutrition Therapists.” Kg Press, Philadelphia, 2006)は、栄養カウンセリングを行う際に知っておくと便利な豆知識をまとめたものです。

心理カウンセリングのさまざまな技法からカウンセリング料の計算に至るまで、栄養カウンセリングに関係するありとあらゆる事象をテーマ(ヒント)ごとに簡潔明快に解説しています。さらに著者や他のカウンセラーの実体験に基づいた豊富な実例集や暗記してそのまま使える文例集、実践してみようという人のための段階的導入法まで付いていて、だれでもすぐに実践できるよう配慮されています。

各ヒントは、ほぼ完全に独立した構成になっているので、だれでも好きなページから読み始めて気に入ったヒントだけを自由に自らのカウンセリングに取り入れていくことができます。たとえばヒント#7が気に入ったならば、そこに書かれた段階的導入法に従って少しずつ実践していけばよいし、またもっと興味のあるヒントが他にあれば、今度はそれを、といったふうにあれこれつまみ食いしていくことも可能です。各ヒントは相互参照する形でゆるやかに連鎖していますので、全体を通読すればよりいっそう興味も増し、またいっそう効果的に使うことができると思います。

ただし、それはアメリカで英語でカウンセリングをする場合のこと。

翻訳ではそのままでは日本の実情に合わない部分もたくさんありますし、そもそも英語の会話は、そのまま日本語にするといかにもバタ臭いというか大げさな感じがするものです。それを直訳してもアメリカのカウンセリングの雰囲気を知るには良いでしょうが、現実の役にはあまり立ちません。かといって自然な日本語にしようとすると場面の雰囲気や原著者の意図とは異なるちぐはぐな会話になってしまいます。

そもそも栄養カウンセリングのやり方自体、日本とアメリカでは大きく異なっています。何ヶ月もかけて毎週1回の面接を行うセッティングで実践できるように書かれたものを、年1回15分で終わりの面接で使うためには、やはり書かれている内容をそのまま暗記するというわけにはいきません。

したがって、元来は全く実用本位であり、原題には実践ワークブックという副題までつけられているのですが、そうした意味でのお手軽さは、日本語版では諦める必要がありそうです。

それでは翻訳する意味がないのかといえば、まったくそんなことはありません。

本書では、動機づけインタビューをはじめとした比較的新しいさまざまな技法が渾然一体となって紹介されているのですが、その多くが、日本の類書ではまったく触れられていないものだからです。

逆にあまりにも違うので、どちらかが間違っているのではないかと不安になってしまうほどですが、本書の内容の半分以上が実践例の紹介にあてられていることからもわかるように、これが現在のアメリカの栄養カウンセリングそのもの(あるいはその一端)であることも明らかです。著者は大学での講義もしており、本書を紹介してくれたのは講義を受講したコロンビア大学修士課程の学生さん(米国登録栄養士受験コース。米国の登録栄養士は管理栄養士と異なり国家資格ではなく栄養士会の認定で、そのための教程は、学部と修士の2種類存在する)でした。

ところで、カウンセリングにはいわゆる「科学的根拠」が不在なので無価値だという意見を聞いたことがあります。そのように考える人は読まなければよいだけのことですが、この点については多少の説明は必要かもしれません。ただここはその説明をする場ではありません。

著者は書いています(ヒント#32):クライアントの立場に立って考えてみた結果、あなたがクライアントの必要としているものを提供できないのであれば、「それは私の仕事ではありません」とはっきり言うべきです。「申し訳ありませんが、どこかに誤解があったようです」

これからしばらく、翻訳を紹介していくつもりですが、同時にどこに誤解があるのかを明らかにできればなおのこと素晴しいとは思います。

今はまだ単なる願望です。


(廣田晃一 国立健康・栄養研究所 栄養情報技術研究室長)

*Molly Kellog, RD, LCSW: "Counseling Tips for Nutrition Therapists. Practice Workbook Volume 1" Kg Press, Philadelphia, PA, USA (2006)

著者のサイト http://www.mollykellogg.com には最新のヒントがあり、51-100番は無料で読むことができます(英文)。日本語でのウェブ掲載については著者及び関係者の了解を得ています。
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作成:2010-11-15 22:04:01 khirota   更新:2011-11-8 18:06:50 khirota   閲覧数:8399


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